パリの詩情が漂う荻須高徳画伯の作品を展示している美術館。生前に荻須が稲沢市に寄贈した作品を中心に常設展示しているほか、特別展や企画展が開催される。
日本で描いていた作品と、美校を卒業してフランスに渡った後に描いた作品、第二次世界大戦で一時帰国し、再度フランスに滞在するようになってから描いた作品。それぞれの時代ごとに、3つの展示室で油彩画、水彩画、素描、リトグラフなど作品を鑑賞できる。
荻須がパリで使用していたアトリエを、天井の高さやはめ込んである窓、床、すべてにおいて忠実に復元している。サイドボードや丸テーブル、絵筆、愛用のパイプなど部屋の中にあるものも、実際に荻須がアトリエで使っていた物。
1901年11月30日、旧愛知県中島郡井長谷村(現・稲沢市)の、代々続く地主の次男として誕生。小さな頃から絵を描くのが大好きで、小学生の頃のあだ名はズバリ"エカキ"。
東京美術学校(現・東京芸術大学)を卒業後、フランスに渡り、長年パリの街並み、なかでも庶民の暮らす裏町を中心に描き続けた荻須。55歳のときにはフランス政府から、名誉ある「レジオン・ドヌール勲章」を授与されている。
西隣には緑豊かな稲沢公園が広がる。周囲には保健センター、大学などがある。このあたり一帯は稲沢市の"文化の杜"構想によって整備されたエリアで、稲沢市荻須記念美術館の建物は、中世の僧院をイメージして建てられている。